学級委員をしていた中二の春、僕は万引きをした
■□『コラム第12回目』■□
▶︎この記事の執筆者:たくぼく(@takuboku1018)
【悪小なるを以て之を為すこと勿れ】
万引きをした中2の春に、
自戒を込めて。https://t.co/ySP37pX9o2— たくぼく@象使い🇹🇭🐘 (@takuboku1018) January 28, 2020
優等生のお前にできるわけないだろ



「優等生のお前にできるわけないだろ」
そう唆されたその日の放課後、僕は「部活に行く」と母親に嘘をついて、
いつもの部活に行く服装で、
いつも使っているテニスラケットを担いで、
いつも行っているテニスコートには行かずに、
その近くのコンビニに集合した。
中学2年生の当時、僕は学業の面では優秀な方で、
40名いるクラスの内、
成績では常にTOP1,2位に入っていた。
クラスでは学級委員を務め、先生の言うことはよく聞き、非行に働くクラスメートを叱るといった、絵にかいたような優等生であった。



その日は5月の後半で、もうすぐ夏がやってくることを示唆するような、じめじめとした夕暮れだった。
「ガリ勉」「ガリ勉」と揶揄されるのが嫌で嫌でたまらなくて、僕はその日の午後、友人に呼び出されたコンビニに向かった。
「やってみろよ」
友人の一言を合図に僕らの作戦は決行した。
僕たちの作戦



作戦はこうだ。
コンビニの店先においてある「バイト探しのタウンワーク」のチラシを貰い、そこに店の商品を挟んで立ち去る。
単純明快。中学二年生の浅知恵だ。
商品は何でもいい。
別にそれが欲しかったわけではないが、僕は簡単そうなシールを選んだ。
「ガリ勉」から解放された日



「あなたとコンビニファミリーマート♪」
意を決すると、警戒な音楽と共に僕は入店した。
腕は振るえ、足が硬直する。
こんなにもコンビニを訪れる足が重かったことが、
これまであっただろうか。
シールを眺めているフリをして、レジの店員さんの様子をうかがいながら、シールをタウンワークに挟む。
特に気づかれている様子もなく、僕はレジに向かわずにそのまま商品を店外に持ち出した。
「簡単だな~」
日没とともに色を変えていく空の下、
自転車をこぎながら僕たちは笑いあった。
その日、僕は「ガリ勉」の呪縛から解放された。
その日はやってきた



数日後、理科の授業の時間だった。
理科室にある一本の電話が鳴り、僕は学年主任に呼び出された。
「何で呼び出されたかわかるか」
「わかりません」
「お前万引きしただろ」
「・・・・」
「しただろ!!!!!」
その日、僕は目が真っ赤になる程叱られた。
優等生だった僕は、叱られることに慣れていなかった。
初めてだったかもしれない。
僕はやっと自分のしでかした罪の大きさに気づいた。
「美化活動でゴミを1日1つ拾わなかったから怒られる、そんなこととはレベルが違うんだよ。
あなたがしたこと、何かわかってる?あなた、学級委員なんでしょ?」
担任の先生に叱られた1言1句、とまでは言わないが、その時叱られたことは、10年以上たった今でも鮮明に覚えている。
後日、僕たちは友人とそれぞれの両親と、担任の先生と、学年主任とで、
今度は部活に行く格好ではなく、
学生服の姿でコンビニを訪れた。
12年生きてきた人生の中で、最も許されてはいけない出来事だった。
僕たちは、「中学生だからね」と言って、お金を払って許してもらった。
12年越しの自戒を込めて



犯罪は、人の信頼を奪う。
人に迷惑をかける。人を悲しい気持ちにさせる。
13歳でとても大切なこの事実を、僕はこの日、身をもって実感した。
「悪小なるを以て之を為すこと勿れ」
僕の人生の教訓である。





